みやぎ復興ツーリズムガイド

小さい時から育った荒浜地区を何とかして復興したい

街の声・笑顔 ~「鳥の海ふれあい市場」理事長 菊地一男さん~

小さい時から育った荒浜地区を何とかして復興したい

鳥の海ふれあい市場の理事長として活躍されている菊地一男さん。風評に悩みながらも前に進もうと精力的に活動されています。それは『亘理町荒浜地区で生まれ育った、だから、やっぱり何とかして復興したい。』という故郷を愛する気持ちの表れだと感じました。震災当時から今後の展望までをお聞きしました。wakari_koe_fureai0

震災の年の12月23日に「鳥の海ふれあい市場」再オープン

震災前の『鳥の海ふれあい市場』の状況を教えてください。

理事長菊地一男さん 元々私たちの施設『鳥の海ふれあい市場』は、わたり温泉『鳥の海』の中にあったんですね。この場所でやるからには魚も売らなきゃってことになったんですが、排水設備がなかったんです。そこで冷蔵庫とか、下には大きな受け皿を作って水がこぼれないようにしました。それから水を流せない事から、魚も全部パック詰めにしたんです。
 ただ、朝に水揚げした魚ですからまだ生きていて、苦しくなって暴れたりするんです。ラップを破って跳ねたりすると、お客さまがびっくりして、それが口コミで「あそこに行けば、生きてる魚を安く売ってる!」と評判が良かったんです。テレビ取材もあり、多くの観光客や地元の買い物客に『鳥の海ふれあい市場』へ来てもらって、毎日賑わっておりました。

震災から再オープンまでのお話しをお聞かせください。

 震災当日も多くのお客さまがいらっしゃっていました。地震でわたり温泉『鳥の海』周辺が液状化現象をおこしたので、スタッフやお客さまなどみんなで屋上に上がって避難し、無事でした。ただ、組合としては110名位いたのですが、組合員が6名、家族合わせると17名位の方が亡くなりました。その中には『鳥の海ふれあい市場』の副理事長夫妻もいました。
 その様なことから、「本当に再開できるかどうか」というのは一番の悩みで、組合員みんなに集まってもらって、どうするかを話し合いました。「震災前まで多くのお客さまに来てもらっていたので、また是非やりたい」という声が多く、再オープンに向けて動き出しました。「とにかく年内中にオープンしなくては」と、みんなでショーケースや棚等を準備し、震災のあった年の12月23日に再開したんです。

その再オープン時には商品は揃いましたか。

ふれあい市場店内の様子 揃いました。逢隈地区とか他の組合は大丈夫だったということがあります。それと、魚が供給できるか心配でしたが、幸いにして荒浜地区は岸壁の被害も少なく利用できたので、その心配もなくなりました。
 オープン当初は土日のみの営業でしたが、震災前と変わらないくらいのお客さまに来ていただきました。4月になって平日も営業を始めましたが、放射性セシウムの基準レベルが500ベクレルから100ベクレルに下がり、お客さんがパァーッと引いたんです。来てくれるお客さまの数がガクンと減り、売り上げも1/3まで減りました。売れないので商品が卸せない、そうすると、お店にせっかく来てもらっても何もない、という状態になりました。そのため、9月からは土日だけの営業に変更したのですが、再オープン当初よりも売り上げは下回りました。

放射性物質の測定検査は当時も今もきちんと行っています

放射性物質の測定検査は行っていますか。

 もちろん行いました。それでも風評被害を大きく受けました。もともとこの『鳥の海ふれあい市場』は魚がメインで、その朝に水揚げしたものをすぐに並べて安く提供していました。カレイやアイナメ、あとアナゴ。季節ものとしてはイナダ、ブリやタコ。一通りの魚は上がります。それを当時も今も全て漁港で検査しています。そんな中、秋のはらこ飯シーズンになり、少しずつお客さまが戻ってきましたが、それでもやっぱり魚を買っていく人は少ないままでした。やはり、風評の影響がずっと尾を引いてるんですよね。
 それと魚と同様に農作物も風評で売れなくなりました。農作物もJAで検査して問題はありませんでした。

風評を払拭するために行っていることは何ですか。

カレイフェスティバル イベントなどに積極的に出店する事や新商品の開発などに取り組んでいます。2013年の7月にカレイフェスティバルを行って、約2千人のお客さまに来ていただきました。千枚の焼きカレイと、500食のヒラメの刺身を用意したりしたのですが、全て足りなくなって追加するなど大好評でした。風評の影響でヒラメを食べない風潮があるのですが、実際に食べてもらうと「美味しい!」ってたくさんの方に言っていただきました。
 イベントは年四回ぐらい定期的に開催しており、出張販売にも行きます。はらこ飯シーズンになると仙山交流イベントや、遠いところでは山形方面にも行って販売しています。それと新商品として水産加工品で何種類かお土産品を作らなくてはと思っています。

とれたてのカレイ本来の味をそのまま提供したい

新商品の開発とはどのようなものを検討していますか。

カレイの新商品 今作っているのはマガレイですね。干したり焼いたりして食べると美味しいカレイです。加工としては朝上がったカレイを、鮮度が落ちないよう生のまま直ぐに乾燥させた後、焼いて真空パックにします。
 ですから、そのまま常温で日持ちもよく、2週間は美味しく食べられます。冷凍しないので、味を損なわないんです。封を開けたらすぐ食べられますし、レンジで温める程度で簡単に食べられます。現在何回か試食して味加減を研究中です。包装するケースも準備中で、将来的には荒浜ブランドのお土産の一つとして販売したいと考えています。

その商品はどこで販売予定ですか。

カレイの新商品-その2 『鳥の海ふれあい市場』で販売する予定です。将来的にはインターネット販売やFAX注文も受け付けたいと思っています。
 ただ、地元でとれたカレイを生で加工し、カレイ本来の味を提供することを一番大事にしたいので、大量の注文に応えられるかが心配です。冷凍保存であればそれも可能ですが、とれたてをそのまま提供したいと思っているので、ネット販売は今の現状では難しいですね。

鳥の海ふれあい市場が牽引していかなくてはならない

今後の動きについて教えてください。

 来年(2014年)、漁協の向かいに水産センターが完成し、この『鳥の海ふれあい市場』もそこに移る計画になっています。
 また、わたり温泉『鳥の海』の再開を期待しています。水産センターと『鳥の海』、この2つを一緒に始めるのが一番いいと思うんですね。温泉に入ってゆっくりした後に、水揚げされた新鮮な魚や水産加工品、農産物などの商品を手に取っていただく。今後は観光バスも積極的に誘致していきたいと考えています。

荒浜地区への想いを教えてください。

鳥の海ふれあい市場 この町は本当に恵まれた環境で、県内でもトップクラスではないかと思うんですね。海のものも獲れる、山のものも採れる、果物もそうですよね。
 そんな亘理町の荒浜地区で私たちは小さい時から育ってきました。だから、やっぱり何とかして復興したいと思っています。そのためには、誰かが先頭を切らなければならない。その中でも「鳥の海ふれあい市場が牽引していかなくてはならない」という思いでいっぱいです。

最後に、全国のみなさんに伝えたいことなど、メッセージをお願いします。

取材日:2013/8/9 場所:鳥の海ふれあい市場

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